子どもをトリリンガルにできる?多言語習得の秘訣と親ができるサポートとは
トリリンガルとは?

まずは「トリリンガル」の定義、トリリンガルになるための条件を解説していきます。
トリリンガルの基本定義
「トリリンガル」とは、ラテン語で「3」を表す「トリ(tri)」と「言葉」を表す「リンガル(lingual)」からなる言葉です。ちなみに「バイリンガル」の「バイ(bi)」は「2」を表しています。
「トリリンガル」は、3つの言語を話せる能力を持った人のことを指す言葉です。たとえば日本人で母国語である日本語が話せ、そのほかに英語と韓国語の2言語が話せれば「トリリンガル」といえます。
トリリンガルになるための条件
「トリリンガル」は、3つの言語を話せる能力を持った人のことを指す言葉です。トリリンガルになるには3つの言語を習得し、使いこなせなければなりません。
3つの言語を習得するためには、それぞれの言語のスピーキング、リスニング、リーディング、ライティングの4つのスキルが必要となります。
トリリンガルと、バイリンガルやマルチリンガルの違い
ここではトリリンガルとバイリンガル、マルチリンガルの違いを説明していきましょう。
バイリンガルとは
「バイリンガル(bilingual)」は、2つの言語を話せる能力を持った人のことを指す言葉です。たとえば日本人であれば、母国語である日本語のほかに、もう1つ外国語を話せれば「バイリンガル」となります。
トリリンガルと比べると話せる言語の数が少ないため、バイリンガルになるほうが簡単でしょう。
マルチリンガルとは
「マルチリンガル(multilingual)」は3つ以上の言語を話せる能力を持った人のことを指す言葉です。たとえば日本人であれば、母国語である日本語のほかに、英語、フランス語、中国語などの3言語が話せれば「マルチリンガル」といえます。
トリリンガルと比べると話せる言語の数が多いため、マルチリンガルになるほうが難しいといえます。
ヨーロッパやアジアの国々では国際結婚が珍しくないため、マルチリンガルの人は多いといわれています。
言語学習のプロセスについて
人が言語を身につけるプロセスは、リスニング(聞く)、スピーキング(話す)、リーディング(読む)、ライティング(書く)の順だといわれています。しかし言語学習のプロセスでは、インプット学習であるリスニングとリーディングを行ったのちに、アウトプット学習であるスピーキングとライティングを学習したほうが効率がよいといわれています。
多言語話者の勉強法
ここでは、多言語話者の勉強法をご紹介していきます。
多言語学習のテクニック
多言語学習をするときのテクニックを2つご紹介します。
1つ目のテクニックは、母国語以外の1つの言語を習得することです。最初から複数の言語を同時に勉強すると、頭の中で混乱してしまうことがあります。そのため1つの言語をしっかり習得してから、次の言語を学ぶようにしましょう。また1つの言語を学ぶことで、自分に合った学び方を知ることができ、それを次の言語の学習に活かせるのもメリットです。
2つ目のテクニックは、学びやすい言語を選ぶことです。日本人にとって学びやすい言語はいくつかあります。英語は中学校時代から学んだ経験がある言語であり、身近なものにもよく使われているため習得しやすいでしょう。また日本語と文法が似ている、韓国語やモンゴル語、トルコ語、スペイン語なども学びやすいといえます。そのほか、漢字に馴染みがある中国語もおすすめです。
どんな勉強をして多言語話者になった?
多言語話者になった人はどのように多言語を習得したのか、その勉強法をご紹介していきます。
●Aさんの場合
Aさんが行った勉強法は、翻訳することです。外国語の文章を母国語に翻訳して、文法や言葉の意味などを理解していきます。その後、母国語から外国語に翻訳します。これをひたすら繰り返し、外国語の構造を理解した上でスピーキングやリスニングを学んでいきます。
●Bさんの場合
Bさんは母国語と似ている言語を選び、日常会話で使うフレーズをひたすら読んだり、聞いたりして学ぶ方法を選びました。基礎を学んだ上で、ネイティブ・スピーカーと話をして理解度を深めていきます。
●Cさんの場合
Cさんの場合は、スピーキング、リスニング、ライティング、リーディングの4つのスキルを伸ばすという目標を立てて勉強し、多言語を習得しました。多くの人が外国語がペラペラ話せるようになりたいというゴールを目指しますが、そのゴール設定があいまいであるため、挫折してしまうことがあります。そこでCさんは、小さな目標をこなしていくという作戦にし、言語学習の基本となる4つのスキルを着実に身に着けて言語を習得しました。
多言語話者の勉強法を子どもの英語教育に活かすには
前述した多言語話者の勉強法を、子どもの英語教育に活かすことができます。どのように応用するとよいのか、トリリンガル育成のために親ができることを解説します。

多言語学習法を家庭教育に応用
前述した多言語学習法のテクニックや、多言語話者が行った勉強方法は、家庭での言語教育に応用することができます。
たとえば、母国語と似ている言語を選んで勉強するのも1つの方法です。
またスピーキング、リスニング、ライティング、リーディングの4つのスキルを伸ばすことは、家庭でもできる勉強方法です。たとえばスピーキングはオンラインなどを活用してネイティブ・スピーカーと話す、リスニングは洋画や動画を見たり音声を聞いたりする、ライティングは日記を外国語で書くなどです。このように、身近なものを使って勉強するとよいでしょう。
トリリンガル育成のために親ができること
子どもをトリリンガルに育てたいという親もいるでしょう。ここでは、子どもを支えるための具体的なサポート方法を解説します。
●サポート方法1:楽しんで学ぶこと
幼児は勉強することは難しいため、楽しみながら学べる方法で外国語を習得していきましょう。たとえば外国語の絵本を読んだり、ダンスを踊りながら歌を歌ったり、おもちゃを使ったりするなどです。楽しんで学ぶことで外国語に関心をもち、自然に外国語に親しむことができます。
●サポート方法2:親もいっしょに学ぶこと
子どもだけでなく、親もいっしょに外国語を学ぶのがおすすめです。そうすることで子どもの小さな成長に気づくことができ、親子のコミュニケーションも増やしていけます。
●サポート方法3:家庭内に外国語を取り入れること
単語やあいさつ、簡単なフレーズを家庭内に取り入れることで、言語学習をアシストできます。たとえばおやつの時間に「Let’s have a snack(おやつを食べよう)」と言ったり、寝る時間になったら「vamos a dormir(もう寝よう)」と声をかけたりするのがおすすめです。繰り返し言うことで、子どもは意味を理解していきます。
まとめ
多言語を学ぶことのメリットは計り知れず、子どもの認知発達や将来の可能性を大きく広げます。子どもをトリリンガルに育てるには、まずは1つの言語を習得してから次の言語を習得させるのがおすすめです。また、多言語話者の勉強法を家庭学習に取り入れることも可能です。
親子で一緒に楽しみながら学ぶ、家庭内で外国語を取り入れる、子どもの興味や学習進度に合わせた学習方法を選ぶといったことが、子どもをトリリンガルに育てるための秘訣です。言語学習はすぐに成果が出るようなものではありませんが、日々の積み重ねと家庭でのサポートによって、子どもは確実に多言語を習得していきます。親がサポートしながら、楽しんで外国語を学べるようにしましょう。